マンガ『ドロップフレーム』がアタマこんがらがってめっちゃ面白い

 

ドロップフレーム: 1 (REXコミックス)

ドロップフレーム: 1 (REXコミックス)

 

 

成家慎一郎さんの『ドロップフレーム』というマンガを読みました。知り合いに「おまえは多分これ好きだと思う」と、特に内容を教えられないまま薦められて読んだのですが、なかなかグッと来る作品です。
ジャンルとしてはSFミステリーとかになるんかな?よくわからんけど。シュタゲとかが好きな人は好きなんじゃないかと思う。

 

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最近、マンガはもっぱらiPad。今のところ単行本2巻まで発売中。雰囲気的には6,7巻くらいまで続く気がする。

あらすじ

映画好きの高校二年生、閏之介(じゅんのすけ)は、友達数人と夏休みに自主制作映画の撮影を始める。その撮影中に出会ったルウという超絶美少女(巨乳)を勢いで役者に迎え、さらにルウといい感じの雰囲気になったり、なんだか素敵な夏休みになりそう。ただ撮影が進むにつれて、閏之介はよくわからない違和感を覚え始め、それが次第に強くなっていった時、ある事件が起きる。それが最悪の8月の始まりだった。

的なストーリーです。ちなみに「ドロップフレーム」というのは映像用語で「撮影するときのフレーム数と放送するときのフレーム数が異なるので、実際の時間を合わせるために、撮ったフレームのいくつかを飛ばす」ことらしい。なんだか作品名がそのまま伏線になってる感じもします。

 

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絵はキレイ。女の子も可愛い。

ちょっと感想

2016年1月現在、2巻まで発売中なんですが、めっちゃ自分好みです。1巻の途中までは「なんだこのうすい恋愛マンガは?とりあえず可愛いから読み進めるけど」と思ってたんですが、実は1巻は全部伏線張り倒す巻。なんだか途中から主人公と他のみんなとの会話が噛み合わなくなっていき、極め付きが1巻最終ページの演出。最終ページを見て「!」となり、1巻を最初から読み直すこと間違い無しな感じです。

2巻からは頭が混乱。映画のカットよろしく場面があっちへこっちへ展開し、頭のなかで整合性を取るのが大変です。超混乱。だけど、そもそもこの混乱がこの作品の醍醐味と言えますし、この分かるようでわからない感じが面白いです。3巻以降の展開に大期待です。

以下若干のネタバレあります。

若干ネタバレ

混乱する中身について

いわゆるタイムリープものに含まれる作品ですが、今まで見てきた作品と違うのが「失敗した過去をやり直す」のではなく「飛ばした過去を後からやる」という点。
前者では一度過去をやった記憶があり、「ここをこう変えよう」という意志を持って過去に戻ったりします(シュタゲ原作がいい例です)。それに比べて『ドロップフレーム』ではそもそも過去の記憶がありません。自分にとっては紛れも無い未来だからです。ここがすんごい混乱のポイント。

そのため、過去で何が起きるのか、何が未来を変えるキーポイントになるのかわかりません。「未来の閏之介が過去に書いた日記」に書かれている範囲では、「今日何が起きるのか」を予測できますが、それを超えるともはや予測がきかなくなります。しかもシュタゲみたいに過去改変にミスったら未来に戻って一息ついてもっかい過去へということもできないので緊張感が違います。
よくわからないのが、日記を書いたのは「26日の閏之介」ですが、8月の半分くらい空いています。順当に考えれば8月26日を「通過」した後の閏之介はさらに過去にも行っているはずで、なぜその時に日記を書かなかったのだろう。そこに何か理由があるのかもしれない。

日記に書かれていない範囲は、「出来事」と「日付」を紐付ける必要が出てきます。改めて読み返すと、ところどころそういうのを感じさせる伏線が張っているように見えます。(「8月2日は雨がふるらしい」とか「8月12日は動物公園に行く予定」とか)
そういうのが終盤でパチっとハマるとすごい爽快なマンガになりそうです。

1巻最終ページの演出

正直これは度肝抜かれました。ゾクッとした。(この感覚はいろんな人に味わって欲しいので詳しくは書きませんが)
確かに1巻を読み進めて「あれ、なんか変。。」とうすらうすら思ってきたところにピンポイントで挟まれてきて!?という感じでした。映画を題材にしたマンガで、登場人物がちょっとメタ的な発言をすることで、作品全体が映画になってしまったような、そんな感覚を覚えます。

おかげで2巻の最終ページも物語の中の一コマなのか、それともメタ的なコマなのかもわからなくなってきて、物語と物語外がごっちゃごちゃになってくる、そういう混乱も発生して、なかなか知恵熱がでそうになる作品です。オススメ。

 

2016/11 追記

最終巻が発売されて読んで、色々思うところがあったので感想書きました。

blog.toofu.net