『BLUE GIANT』読んでやられた

読んだ。平日の夜中に1巻読みはじめて、そのまま最新刊まで止まらなかった。

ちょっとネタバレあるかもしれない。ネタバレしたからと言って面白くなくなるマンガではないけど嫌な人は読まないほうがいいかも。

BLUE GIANT(1) (ビッグコミックス)

BLUE GIANT(1) (ビッグコミックス)

 
BLUE GIANT SUPREME(1) (ビッグコミックススペシャル)

BLUE GIANT SUPREME(1) (ビッグコミックススペシャル)

 

 このマンガの存在は前から知っていて、けどなんとなく避けてた。「面白くなさそう」とかじゃなくて、中身は知らないけど絶対おもしろい予感があって、むかし『BECK』読んであぁ~ってなった記憶もあって、読むのに膨大なエネルギーがいるマンガだという気配がしてたのでなんとなく避けてた。けどふと気の緩みで購入してしまって、ダウンロードしてから数日は耐えてたんだけど、ついに耐えきれなくなって読んでしまった。

 

そうなったらもうおしまいで、あっという間に最新刊の第二部第二巻まで合計12冊読んでしまった。疲れた。もう何も考えたくないし、今週仕事したくない(火曜日に読んだ)。

 

正直ジャズのことよく知らない。音楽のなかではどちらかというと避ける方かもしれない(演歌とかも避ける)。それがこのマンガ読んだから何か変わるのか、と言うとそんなことはないかもしれない。とは言えそんなことはたぶんどうでもよくて、こう「音を表現するマンガ」ってのは本当にすごいなと思うですよ。だってマンガですよ。『BECK』は音が「描かれない」ことで音が「聴こえてくる」マンガだったと思うのだけど、このマンガは音が描かれてる。それどころか「リズム」まで描かれてるような気がして、なんというか「聴こえる」というか音が「ある」というか、語彙が無いのだけど、まるでライブハウスにいるような音の存在感があった。ジャズをよくしらない自分でもそれくらいのことを感じる強さがあった。

 

という音の描写とは別に、主人公・大の一途さというか、他のキャラの脇役感が尋常じゃないなというのも感じた。別にこれはユキノリや玉田の存在感が薄いとかそういう話じゃなくて、「大の物語」感が強すぎるという話。

正直、10巻の最後で「オレ、海外に行くわ。」と言い出したのが唐突過ぎて意味がわからなかった。確かにそれまで事あるごとに「世界一のジャズプレイヤーになる」と言っていたけども、なんというかルフィが「海賊王にオレはなる」って叫ぶのと同じくらいよくわからないというか実体が見えないというか、悪くいえば現実感がないように思っていた。それが「オレ、海外に行くわ。」の一言でいきなり物語のキーワードが目の前に急接近してきたという感じがした。そしてそれは大ひとりの物語だったと、突然告げられたのだ。ユキノリや玉田はそこにいない。例えになってるかどうか全然わからないけど、グランドライン半ばでいきなりゾロやウソップが船を降りてルフィがひとりでワンピース目指しはじめたような。あくまでゾロとウソップ、その他麦わらの一味は脇役だったの的な。この急変化、これがジャズなのか。

 

ユキノリは大と出会った時、大にもし才能があったなら「踏み台にします、全力で。」と言った。結果的に踏み台になったのはユキノリだった。けどそこに負のイメージはなかった。あまりに大がまっすぐすぎるから。

第二部で大はドイツへ向かった。ワンピースに到達するために。そこで誰と出会おうとも、誰と音を生み出そうと、これは大ひとりの物語なんだろうと思う。