ネット系の広告会社を退職した

新卒で入社して約4年半お世話になった会社を辞める。いま有休消化中。

いわゆる退職ポストというやつで、誰も自分のそれなんか興味ないと思うけど、あくまで自分のライフログとして残しておく。

 

転職の経緯

自分は新卒でネット広告系の会社に入った。いわゆる「代理店」で、クライアント企業のウェブサイトやモバイルアプリをつくる際の要件や仕様を決めて下請けの会社に開発の依頼を行う、というのが基本の組織だった。「プロデューサー」とか「ディレクター」とか「プロジェクトマネージャー」とか、案件の企画や進行管理を行う人達の集団だったのだけど、自分はその中で「インフォメーションアーキテクト」という謎な肩書きを名乗っていた。上記の企画や進行管理も行いつつ、ウェブサイトやアプリの情報設計・UI設計をメインの領域として、ワイヤーフレームを描いたりプロトタイプを作ってユーザーリサーチを行ったりしていた(あんまり好きな言葉ではないけど「UXデザイン」とか言うのに類する職種だと思う)。

その仕事自体は面白かった。整理しなきゃいけない要件が多いと、パズルを解いてるみたいな感じで楽しかった。UIデザインの他事例を観察したりするのも、そこから見える企業の意図みたいなのを勘ぐったりするのも楽しい。使いにくいWebサービスやアプリに対して「こうしたらいいのでは」みたいなことを考えるのもわりと楽しい。要は、自分に合っていたんだと思う。

一方で、なんだかなあということも多かった。受託の、しかも代理店(さらに実際は一次請け代理店もいたりする)という立場上、案件の上流にも下流にも別組織がいたり、クライアントー一次請け代理店ーうちーデザイン会社と居て、開発はクライアントから別商流で発注があったりする。そういった状況で開発をしようとすると、何から何まで時間がかかる。設計で承認を取り、デザインで承認を取り、そこから開発会社に仕様が渡り、開発上難があるところは設計を調整し、またそれの承認を取り…と言った感じでなかなか先に進まない。とあるスマホアプリの開発に2年半ほどかかったりしていた。みんな会社が違うので各々自分の身を守ろうとして、開発チーム全体で一体感が出ることもあまりないなあと感じたりした。

また、クライアントが大企業になったりすると、政治的な事情で設計が後戻りしたりすることも多く、またクライアント社内説明用資料や納品用ドキュメント制作に時間がかかることも多かった。

 

そういった調整業務に時間がかかるよりももっと設計やユーザーリサーチに集中したい、単純に「ものづくりに集中したい」という感情が湧き上がってきたところに、とあるWebサービスを開発運営している会社から誘いを受けてその会社に「UXデザイナー」としてお世話になることになった。そこはエンジニアもすぐ横にいる環境なので、本質的なことに集中した仕事ができるんじゃないかと思っている。

 

あと、次の職場へは自転車通勤の予定なのが楽しみ。「東京で自転車通勤」ってなんかシティボーイ感あってよくないですか。よろしくお願いいたします。

 

雑記

  • 上では「調整業務だりー」としか言ってないけど、ある意味それこそが広告代理店の存在価値だったりする。クライアント内の部署間の利害関係を把握して、一番いい解決策を提示する、それは意義ある仕事だと思う。ただ自分はそれ以外の部分に注力したかっただけ。
  • 広告代理店ってネットとかでネガティブに言われがちだけど、ある側面から見るといいこともある。
  • ひとつはクライアントや制作会社などいろんな会社と一緒に仕事をするので「世の中いろんな会社があるなあ」と、なんとなく視野が広がること。
  • もうひとつが学生が就活する時の話。広告業界に来る非芸術系の人って(自分も含めて)なんとなくクリエイティブなことがしたい、企画がしたい、という気持ちな場合が多い気がするのだけど、それはつまり実際どんな業務をしたいのかのイメージが無いということなのかなと思っている。それは実際会社で働いたことが無いなら仕方のないことなのだけど、広告代理店にとりあえず入ると、「世の中の案件でどういう役割の人がどういうことをしているのか」がわかるようになるので、そこで改めて「自分がやりたいのはこういう役割なんだ」というのを把握して、異動したり転職したりできる。そのための踏み台として、最初に広告代理店に就職するのはわりといいんじゃないかな、と思っている。