読書家ぶりたい自分にぴったりのマンガ『バーナード嬢曰く。』を読んだ

 

バーナード嬢曰く。 (REXコミックス)

バーナード嬢曰く。 (REXコミックス)

 

最近マンガを読む(買う)量が増えていて、それと合わせるかのように本を読む量も少しずつ増えている気がします。

最近手に入れたマンガの中でもわりと心に残ったのが施川ユウキ『バーナード嬢曰く。』。「いかに読書量を増やさずに読書家キャラに見せるか」のための努力は厭わず、そのこだわりはそのへんの読書家など足元にも及ばないほどである女子高生が、図書室で騒ぐマンガです。

 

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施川ユウキ『バーナード嬢曰く。』(一迅社)。Kindleアプリで読んでいます。なかなかじわじわくる表紙が気になっていつつも放置していたけど、このたびダウンロード。いまのところ2巻まで発売中。

内容と感想

基本的に日常系ギャグで、本や読書にまつわるあるあるネタが満載のマンガです。めっちゃギャグが面白いわけではないですが、自分が読んだことある本がちょこちょこ出てきたり、わりとコアなネタが「あ、わかる」となるとじわじわきます。なので、まったく小説とか読みません、という人にはあんまりかも。

本屋でラノベっぽい表紙になった『虐殺器官』『ハーモニー』を見てがっかりしつつも「でも そもそも文庫化する前の単行本の時キャラクターが表紙だったから戻っているとも言えるんだよな...!」と謎のフォローをして負の感情をなだめている表情

『バーナード嬢曰く。』2巻 22冊目

というのもよく分かる。昔こんなツイートした記憶があるし。

本を読まないことについて

なかでもすごく気に入ってるのが以下のシーン。

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『バーナード嬢曰く。』1巻 2冊目より。

本は「読まないほうがアレコレ想像できて楽しいじゃない?」とさらっと言ってのけるバーナード嬢。これって恋愛話でよく聞く「片思いしてる時が一番楽しい」というのに近いと思う。要は「本を読む前に比べて読んだ後が優れているわけではなくて、どちらの状態もそれぞれの楽しみ方がある」ということ。読んだけど面白くなかった本なんていくらでもあるし、「読まなきゃずっと面白いだろうと思えた本」だってあったかもしれない。ただ大事なのは「自分がその本を読みたい」と思ったことなのでしょう。「なぜその本を読まなければならないか、ということを知ったならば、もうその本を読んだ以上の価値を手にしたと言っても良い」って誰かが言ってた気がします(内田樹だったっけ?)。

そのほかにも、読んでない本のPOPを自信満々に書こうとする話があったりと、「読書」を「全部読みきらなきゃいけない」とか「読んだ本から何かを学びとらなくちゃいけない」とか、堅苦しく考えるのが馬鹿らしく思えますし、「読書ってなんだろう」って考えてみるきっかけにもなる本です。

読んでない本を読んだ気になるのに楽をするな!

上掲書 2巻 16冊目

読書ガイドとしても使えそう

なんにせよ、本のなかの名言だったり「表紙がかっこいいかそうでないか」だったり、かなりライトな話題も多いし、とりあげる本もかなりの有名どころが多いので、すこしでも本を読む人は「あるある」な気分を得られるんじゃないかなあと思います。それにこのマンガをきっかけに読み始めた本とかもあるので、そういう使い方をするのもあるんじゃないかなと思います。

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 読書にまつわる本なら、ピエール・バイヤール『読んでいない本について堂々と語る方法』もかなりすごい本です。フザけたタイトルですが、「本」という存在や「読書」という行為について、わたしたちの固定観念を粉々に打ち砕いてくれる内容です。手当たり次第に小説とかを読んでる人も、ひとつこの本や『バーナード嬢曰く。』を読んで、自分の行為をひとつ外側から見直してみるのも良いのでは。まだ僕も全部読んでないですが。