劇場を観る劇場 -岡崎公園小劇場- (設計演習)

建築学科三回生時作品。2009年。京都岡崎公園の一角に建つ小劇場の構想。

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京都岡崎公園は観光客や学生、親子連れやイベントに訪れる集団、タクシー運転手など、様々な人々が訪れる場所である。通常、「劇場」という場所は、「劇場に行きたい人々」だけが訪れる場所であるが、様々な人がいる岡崎公園には「劇場に行きたい」人ばかりではないのだから、何か違う形で周囲を巻き込む小劇場を構想する。

劇場空間の構成

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ふだんの劇場は、内部と外部が硬い壁で隔たれており、お互いの関係は稀薄である。

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壁にグラデーションをつけることで、外部と内部の間で見る見られるという関係が緩やかに生まれる。

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グラデーションの内側をステージと客席がスライドすることで、あるときには外からステージが見えず、客席と、空いたスペースがホワイエやギャラリーのようになっているのが見える。また別のときには舞台裏までもが外から見える。

そんな風に、様々に変わる劇場内部の様子が外部から観える。この建築が建つ交差点全体がひとつの劇場となり、岡崎公園を訪れる人はいわば、「劇場を観る観客」となる。

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地下一階平面図。入り口や各種設備は地下に配置される。

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地上階平面図。内部空間は細長い劇場空間が配置され、その中でステージと観客席を移動させることができる。

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劇場の内部と外部で見る見られるの関係が生まれる。

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入り口付近。観客は一度地下に潜って劇場内部に入る。

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地下一階の広場。広場は自由なアクティビティに開かれる。