『単位展 あれくらい それくらい どれくらい?』に行ってきた
『単位展 あれくらい それくらい どれくらい?』に行ってきました。六本木の21_21 DESIGN SIGHT。
身の回りにある「単位」に目を向けてみる展覧会で、絶対に楽しいと思っていたのでうきうきで行ってきました。
展示は、普段私たちが「長さ」とか「重さ」とか、昔からある尺度を改めて知るものから、私たちが新しく作り出している単位に目を向けてみる展示まで様々でした。「単位」という切り口でこれだけ幅広い展示ができるのもすごい。
展覧会入り口。ちなみにこの看板はなんだか見たこと無い大きさのポリタンクだった。何かの燃料入れる用のやつかな。
入場券代わりに紙製の定規を渡される。これで館内のものを何でも測ることができる!
気になったもの
館内は決まった順路があるわけでもなく、あちこちに展示があるので、目に入ったものから見ていく作戦です。見て「ふんふん」みたいなものから、実際に身体を動かして体感するものも多くありました。
台についたセンサー(LeapMotion?)が手の動きを感知して、「どれくらいの大きさのものをもっているか」を測る。りんごの大きさを狙っていくのだけど、モニタを見ずに手の感覚だけでチャレンジするのが個人的には正解。
1mとは「光が299,792,458分の1秒の間に真空中を進む距離」らしい。なんかよくわからん。ちなみに奥にある1cm幅の線は1cm間隔で並んでたけど、1mm幅の線は3.5mm間隔で並んでた。
単位に関する展示なので、展示用の什器は規格材をそのまま使用。
そういえば人は、自分の身体を単位として扱うことがよくある。手のひら広げてだいたいの長さを測ったり、歩数で距離を測ったり。コルビュジェのモデュロールはそれを発展させたものなのかも。
ボールペンのインク量を体積や重量ではなく、「どれだけの長さを描けるか」という「距離」に変換する。どういう文章を書いたらどれだけの距離を走ったことになるのだろう。
感想
モノとモノの共通点を見つけられるようになる
「単位」を通して、「長さ」とか「重さ」とか、ものを捉える側面がひとつではないことを実感できます。(ボールペンを距離で捉えたり)そういう癖をつけると、「あ、じつはこれとこれってこんな共通点があるんだ」と気づくことができるかもしれません。たとえば今ぼくが飲んでた400g入りのバヤリース缶(ちなみに飲み物でmlじゃなくg表記なの初めて見た)の高さが16.5cmだったのですが、実は家にあるピアノの1オクターブ分の鍵盤の横幅とだいたい一致しました。ふだん容量でしか見ない缶と、ふだん音階でしか見ないピアノが「長さ」という単位で結びついた感じです。
雑学が多くて楽しい
たとえば「フランスでは子供が生まれると、その年のワインをケース買いし、一年ごとに一本ずつ飲みながら、子供の成長とセットでワインの味の変化を楽しむ風習がある」という雑学を初めて知りました。他にも「女の子が生まれると桐の木を何本か植え、その子が結婚するときにその木を切って桐たんすを作り、嫁入り道具として持たせる」という話だとか、時間という単位を変換して生活に役立てる話がいっぱいあり、「へー」と思いました。それだけ生活に「単位」というものが深く入り込んでいるということでしょう。
触れるものがすくなくてちょっと残念
単位展なので当然「重さ」や「厚み」など、様々な感覚を楽しみたい展覧会ではあったのですが、触ってはいけない展示が目立ち、ちょっと残念な部分がありました。展示品が壊れるわけにはいかないという、展覧会というものの宿命かもしれませんが、もっと触覚に訴えかける展覧会だともっと素敵だと思います。
ただ、全体的にとても刺激になる展覧会だったことは間違いないので、オススメです。