なんだか今年のメディア芸術祭はいまいちだった、2016。
毎年この季節は六本木の新美術館でメディア芸術祭が開かれます。会期は短いものの、豊富な展示物が全無料で見れるスゴい会なので毎年行っています。ただ今年は例年に比べて「んー?」という感じでした。写真もほとんど撮ってないので、公式サイトから引用しています。
感想
結論から言うとイマイチでした。印象としては、なんだか傾向が2,3年前に戻ったという感じ。
「メディアアート」って、純粋な映像や絵や音の美しさみたいなものよりも、「これも芸術として成り立つのか」みたいなものや、「メディアの垣根を超えて新しい体験を生み出している」みたいなものであると個人的には思っています。その意味で去年の「3RD」や「Ingress」はすごく良かった。それに比べて今回は「単に映像や絵を見てるだけ」という感じがしました。
気になったやつ
(不)可能な子供、01:朝子とモリガの場合 / 長谷川 愛
同性カップルの間に子供が生まれたとしたら、遺伝子的にこんな子供になるかもしれない、という推測を写真や映像にした作品。これがアートなのかどうかは置いといて、こういう未来はすでに近くまで来ているんだろうと思う。
算道 / 山本 一彰
「論理そろばん」を用いてあらゆる計算を行うことができる仕組みの発明。ぶっちゃけ仕組みがさっぱり理解できていないけど、「身体を用いて計算の宇宙を探求する道」というのは個人的にはアツい。説明のウェブサイトもあるみたいだし、ちょっと勉強してみようかな。
Dark Echo / Jesse RINGROSE / Jason ENNIS
モバイルゲームアプリ。イメージ的にはバイオハザードとかに近いのだけど、要素が限りなく抽象化されていて、基本的には音だけを頼りに進む。その音が線として視覚化されて、それが反射して壁の存在が分かったりする。怪物かゾンビかわからないけど、彼らの出す音も視覚化される。赤く示される彼らの線は、ただの線なのにもかかわらず、得体のしれない恐怖感をこちらにもたらしてくる。普通のホラーゲームよりも怖い。なにより、iPadアプリの展示が真っ暗な専用ブースで行われている、ということが素晴らしいなと感じた
Solar Pink Pong / Assocreation / Daylight Media Lab
前にネットで話題になってたやつ。説明不要で素晴らしいと思う。会場で実際にできたら、と思ってたんですが、人が多すぎてよくわからんかった。
去年に引き続き「身体性」みたいなものはうっすらと残っていつつも、「鑑賞者との関係」という意味ではなんか目新しさがなかったなあ、という感じでした。けど毎年この規模の展覧会が見れるのは楽しみで仕方がないです。